キツネさん
勉強中に音楽を聴くことで集中力が上がると一度は耳にしたことがあるでしょう。
実際に音楽と記憶や集中に関する研究は多く発表されています。
しかし、ただ勉強中に音楽を聞けば記憶力が上がるというわけではありません。聞くタイミングであったり、音楽の種類によって効果は変わってきます。
本記事では、研究や論文などをもとに、音楽と記憶力の関係について詳しく解説します。
どのような音楽を聞いた方が効果的であるかも記事の後半で解説していますので、最後までご覧ください。
もくじ
音楽を聴きながら学ぶと記憶力は上がる?
音楽を聴きながら勉強すると記憶力が上がる理由について、論文などを用いて解説します。
音楽と記憶力の関係については、以下のように言われています。
- 五感の刺激は記憶の定着をサポートする
- 音楽は記憶に影響を与える
- 音楽と知的能力は関係ないという説もある
音楽を聴きながら勉強したからといって、必ず記憶力が上がるわけではありません。IQがすぐに高くなるわけでもないです。
音楽は記憶力を上げるサポートをしてくれるのです。
音楽と記憶力の関係を理解することで、音楽を聴きながら勉強する意義がわかりますので参考にしてください。
五感の刺激は記憶の定着をサポートする
人間の記憶は視覚、触覚、味覚、聴覚、嗅覚の五感と密接に関わっています。
多くの人は「りんご」と言われたら、すぐに頭の中に形や色が思い浮かびます。
このように五感は物事を記憶するために必要なものです。
それでは、音楽はどうでしょう。小学生のときに聴いた音楽を覚えている人は多いのではないでしょうか。カエルの歌やチューリップなどを歌えと言われたら、すぐに口ずさむことができます。
これも五感の中の聴覚を通して記憶していることになります。
上記のことから、勉強中に五感を刺激することにより記憶に残りやすくなるといえます。
音楽は記憶に影響を与える
音楽が記憶に影響を与えるかどうかを示す研究や論文は数多くあります。
その中から山形大学の研究を参考に取り上げます。
山形大学の研究では、以下のような実験を行いました。
- 被験者に対して音楽を流しながら静止画像を見せた。このとき、音楽を聞いてくださいとは言わなかった
- 30分の休憩後、1で流れていた音楽を聴きながらイメージや想起できるものを記述してもらう
- その後、同じ音楽を聴きながら、音楽に合う画像をスクリーンに映し出される3枚の画像から選ぶように指示した
結果は、音楽を聞いただけで静止画像の内容を想起できていました。
山形大学の伊藤理絵氏によると、被験者は音楽に注意を向けていなかったにもかかわらず、無意識に聴覚刺激としての音楽を取り込み、視覚刺激としての静止画像の情報と結び付けていたと述べています。
上記の研究からもわかるように、音楽は記憶と大きく関係しています。意識しなくても音楽と情報を結びつけているからです。
音楽と知的能力は関係ないという説も
音楽と記憶は関係していると言われていますが、頭の良さと音楽教育は関係ないという研究論文もあります。
2020年7月にロンドンのフェルナンド・ゴベット氏は、音楽トレーニングと知的能力の過去の論文54件を調査し、音楽教育が知的能力を向上させるかを研究しました。
この研究論文での結果は、ピアノなどの音楽教育が必ずしも知的能力の向上に関係するわけではないとのことでした。
参照:Cognitive and academic benefits of music training with children: A multilevel meta-analysis
キツネさん
音楽を聴きながら学ぶメリット
音楽を聴きながら勉強することには、記憶力を向上させる他にもたくさんのメリットがあります。
今回は、音楽を聴きながら勉強するメリット3つを紹介します。
- リラックスできる
- 集中力も上がる
- メリハリをつけられる(マスキング効果)
音楽は勉強する上で役に立つことばかりです。
それぞれのメリットを理解し、状況に合わせて音楽を聴くように心掛けてみてください。
リラックスできる
音楽を聴くことで、リラックス効果が期待できます。
静岡大学の研究によると、音楽は交感神経を抑制して、副交感神経を活性化させることがわかったと発表しています。
副交感神経はリラックスしている時に活動します。
つまり音楽を聴くことによりリラックスできることがわかります。
音楽は高齢者や障害者に対して音楽療法としても用いられています。この音楽療法の効果でもリラクゼーションが挙げられています。
キツネさん
集中力も上がる
音楽を聴きながら勉強するメリットは、リラックスするだけではありません。集中力を上げるサポートもしてくれるのです。
音楽を聴くことにより、集中力が上がるという研究結果も多数報告されています。
スタンフォード大学医学部の研究チームによると、クラシック音楽を聴きながら勉強することにより脳が活性化され、集中力、情報処理能力の向上がみられたという結果が報告されています。
参照:Music moves brain to pay attention, Stanford study finds
キツネさん
メリハリをつけられる(マスキング効果)
音楽を聴きながら勉強することによりメリハリをつけることができます。
それは、人間が音や声を聴くときにマスキング効果が働くからです。
マスキング効果は、2種類の音が同時に鳴っているのに、片方の音しか聞こえないことを言います。
例えば、飲食店やデパートのBGMがあります。BGMに意識を集中させ、騒音には注意を向けさせず、不快感を減らします。
ちなみにマスキングとは、「覆い被さる」という意味があります。
勉強をする時に音楽を聴くことで、このマスキング効果を利用しメリハリをつけることが可能です。外の音を掻き消し、すぐに勉強に集中できるようになります。
ずっと音楽を聴くのではなく、勉強の開始と同時に聴き始めましょう。
記憶力につなげる音楽の聴き方
音楽を聴きながら勉強することで記憶力が上がる理由やメリットについて解説しました。
ここからは、記憶力につなげるための音楽の聴き方について紹介します。
記憶力を上げるために音楽を聴いているのに、逆効果になってしまってはもったいないです。
記憶につなげるためには以下の2つに注意しましょう。
- ボリュームは最小限
- 勉強中と休憩中の音楽を変える
ボリュームは最小限
記憶力に繋げるための音楽を聴くときは、ボリュームに気をつける必要があります。
オーストラリアのウロンゴン大学のバイロン氏によると、勉強する際に聴く音楽は以下の3つを意識する必要があると述べています。
- ボリュームが大きくない
- テンポが早くない
- 歌詞が少ない(ヒップホップは気が散りやすい)
テンポが早く、ボリュームが大きい音楽を聴きながら勉強をすると、逆にパフォーマンスが落ちるという結果が出ています。
クラシックのようなテンポが遅い音楽を、ボリュームを小さくして聴くことで記憶の定着に繋げられる可能性は高くなります。
最小限のボリュームとは、イヤホンを付けていても外の音が聞こえてくる程度を目安としましょう。
勉強するときと休憩時で音楽を変える
勉強をする時に、勉強中と休憩中の音楽を変えることでメリハリがつき、集中力を保つことができます。集中力を保つことができれば記憶にも繋がります。
勉強中と休憩中の音楽の選び方として、以下を参考にしてください。
- 勉強中はクラシックや歌詞の無い音楽
- 休憩中は好きな音楽の中でも気分が上がる曲を選ぶ
勉強中は集中するために、小さい音量でクラシックなどのテンポが遅い音楽を聴きます。
休憩中は少しアップテンポなテンションが上がる音楽を聴くことで気分が高揚し、やる気に繋げることができます。
このような小さな工夫で記憶力を上げられる可能性があるので試してみる価値はあります。
東大生は勉強前に音楽を聴いている!?
ところで日本でも最難関大学に入学した東大生は音楽をどのように聴いて勉強しているのか気になります。
河合塾に通っていた東大生へのインタビューでは、勉強中に音楽を聴くのではなく勉強前に音楽を聴く方が良いと述べています。
理由は以下の3つです。
- 勉強中に音楽を聴くと注意がそれる
- 受験やテストの際には音楽を聴くことができない
- 勉強前に音楽を聴くことでやる気がアップする
勉強する前に気持ちを高める音楽を聴いて、勉強を開始すると同時に音楽を聴くのをやめるとのことです。
勉強中に音楽があると集中できないのであれば、試してみても良いかもしれませんね。
参照:東大受験を乗り切るために勉強がはかどる方法(文類)勉強前に音楽を聴く理由
記憶力アップに効果がある音楽
キツネさん
ここでは勉強中に聴くおすすめの音楽の種類と、勉強中に聴かないほうが良い音楽について紹介します。
記憶力を上げるために聴く音楽には以下の3つがおすすめです。
- クラシック
- 環境音(アンビエント)
- ヒーリングミュージック
勉強中に聴かないほうが良い音楽は、歌詞付きの音楽です。
それぞれの理由について解説します。
勉強中におすすめ1:クラシック
クラシックを聴くことで記憶力を上がることは研究でもわかっています。
サピエンツァ大学のウォルター氏によると、モーツァルトの音楽を聴くことで成人も高齢者も関係なく、記憶や認知、問題解決に関係する脳波の周波数が増加したと報告しています。
また群馬大学の研究では、クラシック音楽には不安を減らしたり、抑うつ気分に対する効果も確認されています。
キツネさん
勉強中におすすめ2:環境音(アンビエント)
環境音とは、川が流れる音や雨の音、焚き火の音などのことを指します。
これらの環境音の中に「1/fゆらぎ」というリズムが含まれており、この「1/fゆらぎ」が重要な働きをします。
規則的なリズムの中に急に違うリズムが入り込んだりする「ゆらぎ」のこと。
「1/fゆらぎ」は人間の心拍の音と同じようなリズムのためリラックスできる。
池田妙子氏の研究からも「1/fゆらぎ」のリズムにより課題を遂行するための集中力が上がったと述べています。
YouTubeでも環境音は配信されているので一度お試しください。
キツネさん
ヒーリングミュージック
その名のとおり、ヒーリングミュージックとは心を癒すために作られた音楽のことを指します。ゆっくりなテンポで同じメロディが繰り返されるような音楽です。
例えば波の音などの環境音にリズムを付けたような音楽です。
福岡工業大学の岡松恵太氏の研究によると、ヒーリングミュージックのテンポが60BPMの時、人間の心拍数に重なるため癒しの効果があると報告しています。
キツネさん
【注意】歌詞がある音楽は避ける
勉強中に聴くことで逆効果になる音楽もあります。
それは、歌詞がある音楽です。
音楽に歌詞があることで、その歌詞に注意が向いてしまい、注意力が分散してしまうからです。
歌詞がある音楽を聴くときは、モチベーションをあげるために休憩中に聴くようにしましょう。
- 勉強中は歌詞がないクラシックやヒーリングミュージック
- 休憩中はテンションが上がる好きな音楽。歌詞付きでもOK
まとめ
今回は記憶力と音楽の関係について解説しました。
結論として、勉強中に音楽を聴くことは集中力を高めることができ、記憶力を向上させる可能性が十分にあります。
しかし、音楽といっても種類や聴き方に注意が必要です。
- 環境音やクラシックなど静かな音楽を聴く
- 歌詞が無い音楽を選ぶ
- 音量は小さく
- 勉強中と休憩中の音楽を変える
上記4つのことに気をつけることで、音楽は勉強に集中するために役に立ちます。
それに加えて記憶術を身につければ記憶力が上がることは間違いありません。
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関連記事:記憶術とは?おすすめの記憶術6選やトレーニング方法もご紹介
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