物忘れの原因はさまざまです。軽い物忘れから脳の疾患や記憶障害などから現れるケースもあります。
記憶力は、自覚症状があるうちに改善策を始めることで回復できる場合もあります。
本記事では、物事を覚えられない原因について、考えられる疾病、記憶力を強化する方法、記憶力を低下させる習慣、記憶術のすすめ等について解説します。
もくじ
物事が覚えられないのはなぜ?
うっかり忘れっぽくなったり、人の名前が思い出せなかったりする場面は、誰にでもよくあることです。
しかし、物事が覚えられないことが頻繁に起きたり、日常生活に支障が出てきたら、別に何か原因があるかもしれません。
物事が覚えられない原因には、記憶に関わる障害、または病気が考えられます。
関連記事:記憶とは?記憶を定着させる方法も解説
物事が覚えられない場合に疑われる病気・障害
では、物事が覚えられない場合に疑われる病気・障害について、以下の5つのケースを確認していきましょう。
- 認知症
- 高次脳機能障害
- 発達障害
- 健忘症
- うつ病による記憶力障害
認知症
脳の神経細胞の働きが徐々に低下し、記憶や判断力などの認知機能が衰えて、社会生活に支障が起きる状態を認知症と言います。
65歳以上の高齢者で7人に1人の割合で、年齢を重ねるほど認知症のリスクが高くなります。
また、65歳未満で発症する認知症を「若年性認知症」と言い、10〜20代で発症することもあり、仕事や勉強に支障をきたします。
認知症の場合、本人の自覚がないということが、単なる物忘れとは異なる点です。
物忘れは他人から言われることで気が付くことが多いですが、認知症の場合は、他人から指摘されても曖昧に答えようとしたり、日常生活に支障をきたしたりするほどの記憶障害があります。
例えば、朝ごはんのメニューを忘れてしまっても後になれば思い出せるのは、単なる物忘れで、朝ごはんを食べたこと自体を忘れて食べていないと言い始めるのが認知症でよく見られる症状です。
高次脳機能障害
脳卒中や交通事故などで脳の一部を損傷したために、思考・記憶・行為・言語・注意などの脳機能に障害が起きた状態を高次脳機能障害と言います。
外見からはわかりにくい障害であるため、周りから理解されにくい特徴があります。
日常生活や社会生活のさまざまな場面で症状が発症しやすく、人間関係のトラブルや社会との繋がりが維持しにくい傾向があります。
高次脳機能障害の症状は、個人差があり場面や環境によって症状の現れ方が異なるため、周りを困らせてしまうこともあり、本人と社会との関係性を保つのが難しい障害です。
高次脳機能障害が疑われる主な症状は、言いたい言葉が出てこない、相手の話している言葉が理解できない、朝起きてから何をしたか思い出せない、道に迷う、思いつきで行動するなどがあります。
発達障害
先天的に脳の発達が健常者とは異なる状態を発達障害と言います。
発達障害のある人は、他人からみると自分勝手で困った人と勘違いされやすく、障害となる症状については、性格の問題や親のしつけなどが原因だと言われがちです。
発達障害には、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害AD/HDなどがあり、単体で症状が現れる場合と、重複して症状が現れる場合があります。
例えば、注意欠陥多動性障害(AD/HD)の主な症状は、聞いた内容をすぐ忘れやすい、集中力が乏しい、不注意なミスが生じやすい、片付けが苦手などがあります。
発達障害の人は、対人関係で問題になりやすい一方、何かズバ抜けた才能を発揮するケースも多いです。
健忘症
著しい病的な物忘れを健忘症と言い、記憶が部分的または完全に失われた状態になります。
数分前、数日前、それ以前の体験の記憶が失われ、日常生活に支障が起こる障害が発症します。
解離性健忘
心的外傷やストレスによって引き起こされる健忘症です。
健忘症の原因が身体的ではなく、精神的な場合が該当します。
例えば、小児期の虐待による強烈なストレスなどによって、当時の状況に関わる場面を敬遠するようになります。
一過性健忘
記憶が一時的に突然失われる健忘症です。
一過性健忘症は、過度の飲酒や特定の薬の服用が原因で起こることもあります。
症状が現れるのは通常、50〜70歳の人です。
うつ病による記憶力障害
脳の前頭葉の機能が低下し、一時的に記憶力の障害が起きます。
うつ病を発症すると注意力や集中力、判断力、決断力が欠けて日常生活に影響を及ぼします。
うつ病による記憶力障害の主な症状は、出来事をすぐ忘れる、頼まれたことや約束を忘れる、固有名詞や人の名前が出てこない、気が落ち込み自信がなくなる、うまく言葉でないので話せない、文章が頭に入らない等です。
うつ病による記憶力障害は、認知症と似ていますが、うつ病の場合は本人の自覚症状があります。
また、うつ病による脳の機能低下は、うつ病が治ることで改善されます。
認知症と健忘症の違い
物忘れに関わる障害は、症状が似ているため自己判断ではわかりにくい傾向です。
認知症と健忘症の違いも似ている症状があるため、初期症状では間違うこともあります。
認知症と健忘症を比較すると、原因となる症状が異なり、健忘症の場合は、主に記憶障害のみが症状として現れます。
大きな違いとして認知症は本人の自覚症状が無く、健忘症の場合は自覚症状がある状態です。
障害の種類 | 認知症 | 健忘症 |
原因 | アルツハイマー型認知症
血管性認知症 レビー小体型認知症 前頭側頭型認知症 |
頭部外傷
過度のアルコール飲酒 薬の副作用 精神的ダメージ ストレス |
自覚症状 | ない | ある |
主な症状 | 記憶障害
実行機能性障害 失語障害 |
記憶障害 |
記憶力を強化する方法
記憶障害は、リハビリや運動、食習慣の改善、脳トレなどによって、ある程度、回復することもあります。
では、記憶力を強化する方法を確認して、毎日の生活習慣に取り入れることを始めましょう。
運動
運動を習慣づけることで、脳の海馬が活性化されて記憶力を高めることができます。
記憶力は、脳の中央に位置する海馬が深く関係し、運動によって新しく生まれる神経細胞の数を増やす効果を得ることができます。
ウォーキングやヨガなどを毎日10分するだけでも大丈夫です。
高齢者の方や体力が低下している方でも、軽い運動を心がけることで記憶力を強化することができます。
また、反復訓練も記憶力の向上に繋がります。同じ動作を何度も繰り返し、記憶に定着させることで脳の活性化を促します。
反復訓練には、同じ言葉を繰り返し定着させる方法も一緒に取り入れて練習を継続します。
食習慣
食習慣は、記憶力に大きく影響しています。
脳の健康を維持するには記憶力を支えるための食材を選んで取り入れることが効果的です。
DHA/EPAは、海馬や大脳皮質の働きを促し、ビタミンB1は、神経細胞の萎縮を回復させる効果があります。
レシチン、コリン、アスタキサンチン等は、記憶力や集中力の向上が期待できます
※記憶力を強化する食材
- DHA/EPA:イワシ、サバなどの青魚
- ビタミンB1:ナッツ類、ごま、あずき、大豆、玄米、ライ麦パン、豚肉
- レシチン:卵黄、大豆製品。
- コリン:牛・豚・鶏のレバー、ひまわりの種、卵黄
- アスタキサンチン:イクラ、エビ、カニ
さらに、DHA/EPA、ツボクサ、イチョウなどのサプリメントを取り入れることも記憶力の向上に役立ちます。
脳トレ
遊び感覚で記憶力を高める方法として脳トレがあります。
ノルアドレナリンという神経伝達物質の分泌を促す効果があり、記憶力の向上が期待できます。
記憶力に関わる海馬を刺激できる脳トレは、神経衰弱のような記憶ゲーム、一日の行動を記録する方法、利き手と逆手を変えて作業する方法など、気軽に取り組めることから始めると良いでしょう。
記憶力を損なうおそれのある習慣
では、記憶力を低下させてしまう習慣について確認しておきましょう。
せっかく脳を活性化させて記憶力を強化する習慣をはじめても、逆効果になるようなことは避けるようにしましょう。
飲酒・喫煙
過度な飲酒は、脳機能の低下に繋がり、アルコール性認知症を引き起こす要因となります。
アルコールを多量摂取するとビタミンB1が不足して意識障害や歩行障害、眼球のけいれん等の症状が発生します。
アルコール依存症になって回復したとしても、新しいことが覚えられないため健忘症を発症したり、時間や場所がわからなくなったりするなど、記憶力の低下が症状として残るケースがあります。
喫煙習慣がある人は、脳の大脳皮質が薄くなることがわかっています。
つまり、タバコを吸う人は、脳の老化が早まるということです。
タバコを吸わない人と比べ、喫煙者が認知症になるリスクは、2.2倍で、アルツハイマー病になるリスクは、2.3倍になると言われています。
寝不足
寝不足になると脳の海馬が縮小し記憶力の低下を引き起こします。
症状が悪化するとアルツハイマー型認知症のリスクが高くなります。
しっかり睡眠時間を取っている人のほうが記憶力が高くなるため、普段から夜更かしや寝不足の習慣がある人は、程よい睡眠習慣を心がけることが大切です。
睡眠のリズムを保たれた質の良い眠りを習慣づけましょう。
関連記事:記憶力と睡眠の関係
ストレス
ストレスが溜まると記憶力にも影響します。
過度なストレスが続くと、うつ病、健忘症、認知症を発症しやすくなります。
軽いストレスであれば、気分転換や運動で発散し、気持ちを切り替えるようにしましょう。
過度なストレスで、自己をコントロールできない状態の場合は、薬物療法、心理療法やリハビリ、ライフスタイルの改善、記憶術の習得など、症状に合わせて対応するようにしましょう。
「記憶力が低下してきた」と感じた場合は
記憶力が低下してきたと自覚症状がある場合は、これから回復できる可能性があります。
自覚症状がなくなって周りとの不調和が現れる前に、できることから始めることが大事です。
例えば、記憶力が落ちて物忘れがひどくなったと気が付いたら、忘れないようにメモを取るのもひとつの方法です。
メモの習慣をつけることで記憶を留めることができます。
また、記憶力が低下する要因をひとつずつ書き出して、悪い習慣を無くして、生活習慣を改善することが必要です。
生活、仕事、環境を変えることで、記憶力の回復に繋がっていきます。
記憶力の低下が著しいと感じた場合は、心療内科や精神科の診断を受けましょう。
単なるストレスが原因ではなく、何か脳に関わる疾患を発症している場合もあります。
専門医の診断を受けて適切な治療法を行いましょう。
物事が覚えられない場合は記憶術を試してみよう
記憶力の低下には、さまざまな対処法があります。
運動、食事、睡眠など生活習慣を見直すことや、飲酒・喫煙を控えること、脳トレやストレス解消を心がけるなど、脳の活性化に繋がる改善策があります。
さらに、記憶力を強化できる記憶術をマスターすることも方法の一つです。
自分だけでは回復が困難な場合は、専門的なサポートを受けながら記憶術を身に付けることができます。
Wonder Educationは、記憶術を中心とした最先端の脳力教育を行う記憶術のスクールです。
初めての方でも何歳からでも挑戦できるカリキュラムで、記憶術を学ぶことができます。
記憶力向上にご興味のある方は、ぜひ気軽にお問い合わせください。
記憶術のスクールなら株式会社Wonder Education
株式会社Wonder Education 代表取締役
Wonder Educationは関わっていただいた全ての方に驚愕の脳力開発を体験していただき、
新しい発見、気づき『すごい!~wonderful!~』 をまずは体感していただき、『記憶術は当たり前!~No wonder~』 と思っていただける、そんな環境を提供します。
学校教育だけでは、成功できない人がたくさんいる。良い学校を卒業しても、大成功している人もいれば、路頭に迷っている人もいる。反対に、学歴がなくとも、大成功をしている人もいれば、路頭に迷っている人もいる。一体何が違うのか?
「人、人、人、全ては人の質にあり。」
その人の質=脳力を引き出すために、私たちは日常生活の全ての基盤になっている"記憶"に着目をしました。
「脳力」が開花すれば、人生は無限の可能性に溢れる!
その方自身の真にあるべき"脳力"を引き出していただくために、Wonder Educationが発信する情報を少しでもお役立ていただければ幸いです。