キツネさん
新しいことを覚えることが難しくなってきたり、顔は思い出せるけど名前が思い出せないことはありませんか。
このようにパッと思い出せないことが頻繁にあると不安に感じると思います。
でも、その原因が年齢なのか、病気なのか自分で判断することは難しいですよね。
近年、若年層でも生活習慣の乱れやスマートフォンによるスマホ脳疲労などで記憶力の低下している人が増えています。
しかし、記憶力の低下は生活習慣の改善やトレーニングで防ぐことができます。
この記事では軽度認知障害チェックや記憶力の低下の原因、記憶力が落ちない人の共通点を解説します。
記事の最後に記憶力が悪くなったと感じる方に、日常ですぐ実践できる解決方法を5つ紹介していますので参考にしてください。
もくじ
記憶力が悪くなる主な要因
記憶力の低下の要因は病気である軽度認知障害(MCI)やスマホ脳疲労、ストレスが考えられます。
軽度認知障害は厚生労働省の推計で400万人いると言われています。
記憶力などの認知機能の低下の症状がありますが、日常生活に支障はないので早期発見は難しいとされています。
スマホ脳疲労は脳の血流が減少し、物忘れや意欲や判断力の低下を引き起こします。
キツネさん
65歳以上の人は軽度認知障害をチェック
軽度認知障害は正常な状態と認知症の中間のグレーゾーンです。
記憶力や注意力などの認知機能に低下はありますが、日常生活に支障をきたすほどではない状態を指します。
軽度認知障害はあなたの今の状態でチェックできます。
- 物忘れが目立つようになった
- 仕事や家事の効率が悪くなった
- 何となく元気や意欲がなくなった
- ふだんと違う出来事を嫌がるようになった
- 趣味から遠ざかるようになった
- つきあいの範囲がせまくなった
これらの項目に多く当てはまる方は、忘れ外来や神経内科、精神科などを受診することをおすすめします。
また、厚生労働省も軽度認知障害の定義を以下のように定めています。
記憶力に障害があって物忘れの自覚があるが、記憶力の低下以外に明らかな認知機能の障害がみられず、日常生活への影響はないかあっても軽度のものである場合です。」
現代の生活が記憶力に影響?
現代の生活も記憶力に非常に大きな影響を及ぼしています。
たとえば、仕事や友人との人間関係のストレス、睡眠不足、スマートフォンの長時間の使用によるスマホ脳疲労、栄養バランスの乱れなど多岐にわたります。
今回は特に影響の大きい「ストレス」、「スマホ脳疲労」の2つを詳しく解説します。
ストレスが記憶力を低下させることも
現代の生活における過度なストレスは記憶力低下の要因になっています。
人は強いストレスを抱え込むと、副腎皮質から抗ストレスホルモンのコルチゾールが分泌されます。
コルチゾールの増加は記憶や脳の機能に影響を与えます。
ジョンズ・ホプキンス医学校のJustin Echouffo-Tcheugui博士が、脳とストレスに関する最新の研究論文を神経科学誌のNeurologyで発表しました。
参照:Circulating cortisol and cognitive and structural brain measures | Neurology
健常者2,231人に心理学的試験と記憶・思考スキルに関するテストを実施し、同時に被験者の血液サンプルを採取し、MRIで脳のスキャンも行いました。
結果、血中のコルチゾール濃度が高い人々は、正常な人よりも記憶力と思考力のテストで低いスコアを出しました。
また、脳の容積が縮小していることも確認されています。
キツネさん
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注目されている「スマホ脳疲労」
現代の生活に欠かせないスマホですが、脳には膨大な情報が絶えず流入し続け、情報処理が追いつかなくなり疲労しています。
こうしたスマホの使い過ぎにより、脳に異常をきたし認知機能の低下を引き起こしています。
そんな中、注目されているのが「デジタル・デトックス」です。
デジタルデトックスとは、スマートフォンやパソコンといったデジタル機器から意識的に距離を置きます。
そして自然に触れたり自分と向き合ったりして、精神的・肉体的な疲労をリフレッシュします。
- スマホやパソコンなどの使用時間を可視化する
- デジタル機器に触れないようにする
- 慣れるまでは短時間からスタートする
- 画面をグレースケール(モノクロ)にする
年齢と記憶力
「最近、人の名前が覚えられない」
「勉強をしたいのになかなか、全く覚えられない」
「学生時代はもっと暗記できていたのに」
年齢を重ねるにつれてこんな風に感じていませんか。一般的には「年齢を重ねる=記憶力の低下」と考えている人は多いです。
しかし、実は記憶力と年齢は関係ありません。ここでは年齢が脳に及ぼす影響を正しく解説します。
キツネさん
加齢で脳は萎縮する
私たちの脳は年をとるにつれてシワが深く大きくなり、徐々に委縮します。
脳の萎縮は30代から少しづつ始まり、速さは個人差によります。
脳萎縮の要因のひとつには、神経細胞の減少が挙げられます。
一説によると脳内では毎日10万個もの神経細胞の脱落が起きており、これにより脳全体のボリュームが小さくなっていきます。
脳の萎縮は認知機能を低下させ、具体的には以下のような病気を引き起こします。
- 物忘れや短期記憶障害
- 見当識の障害
- うつのような症状
- アルツハイマー病
脳の萎縮の程度によって影響の度合いはありますが、必ずしも認知症には至るわけではありません。
「記憶力」は悪くならない
記憶力の低下を「加齢」のせいだと決めつけるのはただの思い込みで、実は年齢と関係がありません。
米タフツ大学のアヤナ・トーマス博士が2011年に発表した論文によって、年齢で記憶力が低下する原因はただの「思い込み」ということが分かっています。
参照:Reducing the Burden of Stereotype Threat Eliminates Age Differences in Memory Distortion
この実験では、18~22歳の若者と60~74歳の年配者を64人集めて、2つのグループに分けて記憶力テストを行いました。
Aグループには「記憶力テストは通常、高齢者の方が成績は悪くなります」と説明し、Bグループには「この記憶力テストは心理実験です」と伝えました。
実験結果はAグループは年配者の方が点数が低く、Bグループは若者と年配者の点数の差がなくなりました。
この実験から年を重ねることで記憶力が悪くなるのは思い込みであることが証明されました。
キツネさん
高校生は「覚え方の問題」がほとんど
マサチューセッツ工科大学(MIT)の認知科学研究者のジョシュア・ハーツホーン(Joshua Hartshorne)氏の研究では18歳前後が総合的な情報処理能力と記憶力がピークというデータがでています。
参照:Incredible chart shows how intelligence changes as we age
なので高校生で「記憶力が悪くなった」と感じている人の原因は記憶力が悪いのではなく覚え方にあることがほとんどです。
記憶力が悪くなったと感じた場合は、今一度、自分が実践している記憶の方法を見直してみましょう。
また、以下の「記憶力を高めるトレーニング」や関連記事も参考にしてください。
- 語呂合わせ法
- 連想結合法
- 瞑想法
- 軽い有酸素運動を取り入れる
- 複数の感覚機能を一緒に使って覚える
- ビジュアル化して整理しながら覚える
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記憶力が落ちない人の特徴
年齢を重ねても記憶力が落ちない人がいますが、もともと記憶力が高かったり、才能だと思っていませんか。
実は記憶力はトレーニングで維持できます。また、トレーニングで何歳からでも鍛えることができます。
そして記憶力が落ちない人にはある共通点がありました。
この共通点3つを取り入れることで、記憶力の低下を防ぐことができます。
- 意欲的に学び続ける
- 覚えたことを人に話す
- ストレスを溜め込まない
意欲的に学び続ける
記憶するときには「覚える意志」いわば意欲を持つことが非常に重要です。
これは、薬としての効果がない物質でも、服用すると効果がでいると思いこむプラセボ効果というものです。
同様に「覚えられない」「できない」というネガティブな思い込みは記憶スイッチをオフにしてしまいます。
記憶力が衰えない人は「年だから覚えられない」とは考えません。
記憶力が低下するのではなく「覚える」という意欲で、意欲の低下や苦手意識をなくすことが記憶力維持の第一歩です。
キツネさん
覚えたことを人に話す
アメリカの学術雑誌Scienceに2008年に発表された米パデュー大学のカーピック博士の論文では、記憶の定着はインプットよりアウトプットの方がパフォーマンスに影響を与えると結論づけています。
さらに人に話すというアウトプットは運動神経を使っており、これを「運動記憶」といいます。運動記憶で反復して覚えたことは、長期記憶に保存され、忘れにくくなります。
参照:東京大学 短期と長期の運動記憶の画像化に成功 早く学んですぐ忘れる・ゆっくり学んで長く記憶 その違いはどこに?
このことから、覚えたことを人に話すというのは記憶の定着に有効なアプトプットだと言えます。
また、自分がどこまで理解できているかが分かるので学習効率も上がり、おすすめの方法です。
キツネさん
ストレスを溜め込まない
先にも説明しましたが、ストレスは記憶力に大きく悪影響することが分かってきました。
記憶に関わる重要な脳の組織に「海馬」というものがあります。日常的な出来事や、勉強して覚えた情報は、海馬の中に収納されます。
この海馬はデリケートで強いストレスにさらされると萎縮する性質があります。
たとえばPTSD(心的外傷後ストレス障害)という言葉を聞いたことがある人もいるかと思います。
これは戦争や災害など極端な恐怖やストレスで、海馬の変性や認知機能に障害が現れる病気です。
このように海馬にダメージを与えないようにストレスをため込まないことが重要です。
キツネさん
「記憶力が悪くなった」と感じたら試してみたいこと
記憶力を強化する方法には、さまざまな種類があります。
しかし、どれを取り入れるか悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。
そこで「記憶力が悪くなった」と感じたら試してみてほしい記憶力を上げる具体的な方法を5つ紹介します。
- しっかり睡眠をとる
- 声に出して読む
- 日記をつける
- マルチタスクはやめる
- 記憶の仕組みを学び、トレーニングする
次にそれぞれのやり方を解説します。
しっかり睡眠をとる
睡眠は、「時間」と「質」を確保することが重要です。
2000年にハーバード大学スティックゴールド博士の研究によると、新しい知識を定着させるのに睡眠時間は6時間以上必要という研究結果がでています。
次に睡眠の質も重要です。
睡眠の質を上げるには、以下のような方法が挙げられます。
- 規則正しい生活を送る(同じ時間に起きるなど)
- 目覚めたら太陽の光を浴び体内時計をリセットする
- 日中は散歩などで適度に身体を動かす
- 食事は就寝3時間前までに済ませる
時間と質を意識して取り入れてみることで、記憶力にも良い影響があるはずです。
声に出して読む
声をだすことは物事を記憶するのに効果的な方法です。
2010年、カナダのウォータールー大学心理学教授であるColin MacLeod氏は参加者にランダムな単語の一覧を記憶させました。
そして記憶力を比較するために4種類の方法で実験を行いました。
- 単語を黙読する
- 声に出して読み上げる
- 他人が読み上げたものを聞く
- 自分が読み上げた録音を聞く
その結果、以下のような順番で多くの単語を覚えることができました。
- 声に出して読み上げた
- 自分の読み上げの録音を聞いた
- 他人の読み上げを聞いた
- 覚えるべき単語を黙読した
この実験では声に出すと情報を覚えるときに自分が覚えやすい形式に置き換えられて取り込まれやすいということが分かりました。
出典:CBC Canadian researchers say you can improve memory with this one weird trick
日記をつける
海馬を鍛えて記憶力を上げるには5行日記を書くのをおすすめします。
ポイントとしては脳を活性化させるために手書きで書くことです。
さらに日記を書くことで2つのメリットがあります。ひとつは手を動かすので、運動神経を刺激し記憶の定着率が上がります。
もうひとつは、日記を書くために1日の出来事を振り返ります。
出来事をストーリー仕立てで思い出そうとすることで、脳は「エピソード記憶」として記憶します。
エピソード記憶とは英単語のように知識としての記憶ではなく、たとえば旅行の楽しい思い出のような記憶で、長期記憶されやすい特徴があります。
記憶力が落ちたなと感じる人は1日の終わりに手書きの5行日記を試してみてください。
キツネさん
マルチタスクはやめる
マルチタスクの習慣は脳を害して日常的な記憶力と注意力を低下させる可能性があります。
一般的にマルチタスクは、作業のパフォーマンスが下がると言われています。
このマルチタスクのリスクについては、世界トップクラスの総合科学誌『Nature』に2020年10月28日に論文が発表されました。
参照:Memory failure predicted by attention lapsing and media multitasking | Nature
この論文では、重度のマルチタスクをしていると、脳に負の変化が生じ、記憶力と注意力が大きく失われるという衝撃的な実験結果を示しました。
幸いにも低下した記憶力や集中力はマルチタスクをやめることで回復することが判明しています。
キツネさん
記憶の仕組みを学び、トレーニングする
記憶は3つに分類できます。
- 感覚記憶
- 短期記憶
- 長期記憶
記憶は短期記憶を反復することで長期記憶へ変換する仕組みになっています。
この中でトレーニングして伸ばしたい記憶力は記憶の保持が一番長い「長期記憶」になります。
長期で忘れない「長期記憶」を鍛えるためのトレーニングには、以下のようなものが挙げられます。
記憶力が下がったと感じているなら、トレーニングは必須です。取り入れられるものから、試してみましょう。
- イメージ変換
- エピソード記憶変換
- 数字イメージ変換
- 連想結合
①イメージ変換
イメージ変換のトレーニングは、覚えたいものを自由にイメージに変換して記憶する方法です
②エピソード記憶変換
覚えたいことを経験や出来事など物語に組み込んで、ストーリーとして記憶します。
③数字イメージ変換
数字を語呂合わせなどイメージしやすいように変換して記憶する方法です。
④連想結合
覚えたいことを連想ゲームのようにつなげて、一つのストーリーにして記憶する方法です。
以上は記憶力を上げるための一例です。
記憶力を上げるためには「方法を学び」「繰り返しトレーニングすること」が重要です。
関連記事:【再現性あり】記憶力を上げる方法とは?|誰でもできる記憶向上テクニックを紹介!
まとめ
今回は「記憶力が悪くなった」と感じたらチェックしたいこと、そして原因と対処方法について解説しました。
記憶力が落ちたかも……という人でおおむね60代以上の方は、軽度認知障害をチェックをしてみましょう。
また記憶力を低下させている現代特有の要因を2つ解説しました。
- ストレス
- スマホ脳疲労
定期的にストレスは発散し、ため込まないことが重要です。スマホ脳疲労はデジタル・デトックスを取り入れて脳へのダメージを軽減させましょう。
最後に「記憶力が悪くなった」と感じたら試してほしい5つのことを振り返っておきます。
- しっかり睡眠をとる
- 声に出して読む
- 日記をつける
- マルチタスクはやめる
- 記憶の仕組みを学び、トレーニングする
ぜひ、自分が取り組みやすい方法を試してみてください。
記憶術を取り入れてみるのもおすすめ
どうしても記憶力が上がらない...という人には、記憶術を試してみるのもおすすめです。
「記憶術」と聞くと少し怪しいイメージや、小手先のテクニックのイメージを持つ方もいるかも知れません。
しかし、人間が何かを記憶する際には決まった法則があり、その法則を1つずつ紐解いて、最適化された方法が記憶術です。
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キツネさん
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