キツネさん
なんとか短期間で暗記する方法はないかな……?
世界史はとにかく暗記量が多いし、なかなか記憶が定着しないので苦労しますよね。
筆者は13年間中学生・高校生に受験指導をしてきました。
その経験で「成果が出やすい・出にくい暗記法は誰でもおおよそ同じ」ことがわかっています。
今回の記事を読めば世界史はもちろん、暗記に対する苦手感が無くなるはずです。
正しい方法を知ることで、暗記系科目が得意になるかもしれません。
ぜひ最後まで一緒に見ていきましょう。
もくじ
世界史を暗記したい人がまず最初に知るべき3つのコツ
さっそくですが、この記事の結論は以下のとおりです。
- 世界史の暗記が苦手なのは普通のこと
- 世界史暗記の「何が苦手か」をハッキリさせよう
- 世界史の「おすすめ暗記法」を6つ紹介
まずは上2つを知っておいてください。
世界史の暗記をすすめていくうえでの準備運動になります。
いきなり方法を知りたがる人は多いのですが、なぜその方法が良いのかをわかっていないと効果は半減です。
ストレッチせずに全力ダッシュすると大きなケガをしますよね。
しっかり準備を整えてから走り出しましょう。
知るべきコツ① 世界史の暗記が苦手なのは普通
どんな学習者であっても、世界史をサクッと暗記できる人はほぼいません。
キーワードの多くがパッと見て意味が入ってこないからです。
- 人名や地名にカタカナが多い
- 年号(数字)とセットで覚える必要がある
- 登場する場所が身近ではない
このあたりが理解を邪魔してくる原因です。
「ウパニシャッド」はピンと来ない
筆者が世界史を学んでいたころ、全然覚えられなかった単語の一つが「ウパニシャッド」です。
インドの宗教文書の1つですが、何度聞いても言葉からイメージが湧かないんですよね。
- 言葉の意味がわからない
- 国がイメージできない
何もヒントがないので、覚えることが難しかったのです。
世界史の用語はみんな暗記しにくい
不安になった筆者は、文系トップだった友人に尋ねたことがあります。
「世界史の用語はどうやって覚えるの?すぐに頭に入る?」と。
その答えは
何度か見ないと覚えられないよ
でした。
勉強が得意な人でも世界史はやはり覚えにくいのです。
キツネさん
世界史が得意な人でも、最初は覚えにくかったんですね。自分だけじゃないかと不安でしたが、安心です。
では、世界史が得意な人はどのようにして暗記していくのでしょうか。
知るべきコツ② 世界史暗記の「何が苦手か」を自覚する
次に知っておくべきことは、「苦手の傾向を分析せよ」ということです。
スポーツでは対戦相手の弱点を分析してから試合に臨みますよね。
世界史も同じです。
あなたが苦手な暗記内容を自己認識しておくことで、適切な対策がうてます。
- 数字が苦手
→ゴロ合わせで対策 - カタカナ人名が苦手
→ゴロ合わせ、絵コンテ法で対策 - つながりが苦手
→マインドマップで対策
それぞれ、対策とともに解説していきます。
数字を覚えることが苦手
数字が暗記できない人は、ゴロ合わせを使いましょう。
ゴロ合わせは、数字に意味を持たせて記憶しやすくする方法です。
古くから使われていますが、数字を暗記する際にもっとも効果的な方法の1つです。
184年・・・黄巾の乱
→いやよ!(184)と張角、黄巾の乱
1225年・・・現ベトナム地域で陳朝が始まる
→人にニコニコ(1225)、ベトナム陳朝
コツとしては、ゴロとキーワードにプラスして1つだけ情報を盛り込むことです。
黄巾の乱の例ならば、主導者「張角」の名前ですね。
関連する人物や事柄を入れることで、複数の内容をつなげられます。
単体よりも複数の要素をつなげたほうが暗記しやすいので、ゴロに1つだけ要素を足して覚えましょう。
カタカナを覚えることが苦手
カタカナを覚えるのが苦手なら、ゴロ合わせと絵コンテ法を使いましょう。
世界史のカタカナ人名にゴロ合わせで無理やり意味をつけるのです。
そのうえで絵が浮かぶようにストーリーを作っていく(絵コンテ法)のです。
アナーニ事件・・・ボニファティウス8世がフィリップ4世に捕らえられて憤死
この事件を例にしてみましょう。
盆に鉢と臼8個(ボニファティウス8世)並べてフィリピン人4人(フィリップ4世)と穴に(アナーニ)埋める
フィリピン人4人と穴を掘り、鉢と臼を8個埋める。
かなり滑稽な絵が頭に浮かびませんか?
「うわぁ、くだらない」と感情が動くことで、記憶に残りやすくなります。
キツネさん
よく分からないけれど、フィリピン人4人が頭から離れませんね……。
関連記事:長期記憶のしくみをわかりやすく解説!忘れない脳をつくる方法 #絵コンテ法
つながりを覚えることが苦手
記述問題が苦手な人は、物事のつながりを意識しましょう。
記憶は他の要素とつながっているほど強く定着します。
例えば共和制ローマと帝政ローマを覚える時は、そのつながりを意識します。
- 王を追放した共和制ローマがイタリア半島を統一
- ヨーロッパに勢力を拡大
- 目が届かないので分割統治を行う
- 内政悪化
- 三頭政治を経てオクタヴィアヌスが初代皇帝に
- 帝政ローマ誕生
領地が広がれば、目の届かないところで政治が腐敗するものですよね。
勢力拡大によって内政が悪化する流れは、理解すれば覚えなくても記憶されます。
キツネさん
詳しくは後述しますね。
知るべきコツ③ 世界史の「おすすめ暗記方法」
苦手な分野と対策がわかったら、あとは暗記テクニックを身につけましょう。
紹介する方法は以下のとおり。
- 音読
- 暗記カード
- 一問一答
- 暗記ドア
- マインドマップ
どれも少ない時間で暗記できるよう工夫されています。
世界史の内容がスラスラ出てくるようになるはずなので、しっかり身につけていきましょう。
共通するコツは「スキマ時間」を使うこと
どの暗記テクニックを使うにせよ、スキマ時間をうまく使える人が成功します。
5分を甘く見ている人は、30分あってもスマホをいじって終わってしまうことでしょう。
- 朝の歯磨き中
- ご飯を食べている時間
- トイレ(大)
- 通学時間
- 昼食のあと
- エレベーターに乗る時間
あなたの生活には、スキマ時間がたくさん隠れています。
筆者が見てきた難関大合格者は、例外なく休み時間(スキマ時間)を勉強に使っていました。
ご飯を食べながら勉強しているのに、食べてからも勉強しているんですよね。
たとえテスト前日であっても、諦めなければ点数を伸ばせるのが世界史です。
キツネさん
たった3~5分なら、やる気と関係なく取り組めますしね。
試験前日なら「音読」一択
筆者が指導し、京都大学文学部に入学した生徒は「テキスト暗記は音読が最強」と言っていました。
「そんな面倒なことをテスト直前にやるの!?」と思いますよね。
でも、視覚・聴覚・触覚をフルに使う音読は暗記法として効果的です。
世界史の内容を歌にして覚える方法もアリです。
音読の効果に加え、リズムが加わるのでより覚えやすくなりますね。
YouTubeで「世界史 歌」で検索すると、たくさんの暗記ソングがヒットします。
ちなみに、福岡教育大学教授の森敏昭氏によれば「音読は短期的な記憶に有効」とのこと。
道具も必要ないので、迷ったら音読ですね。
キツネさん
音読は面倒でも取り入れるべきです。
暗記カード
暗記カードは作ること自体がインプットにつながります。
なので自分用にカスタマイズして作りましょう。
- 覚えている単語はカード化しない
- 忘れやすさで色分けして書く
- 語源を書き込む
よく忘れる単語は赤、ぼんやり理解している単語は青、などと色を変えて書きましょう。
また、意味だけでなく語源も加えることで記憶が定着しやすくなります。
コツは「超高速回転」で身体に染み込ませる
ちなみに暗記カードを使って覚える際は
- 超高速で、音読しながらカードをめくる
- 基本的に裏面は見ない
(間違えと思ったら裏面の答えを見る) - 覚えていないものはチェックしておく
といったコツがあります。
高速で回転させることで、より短い時間で多くの回数をこなすことができます。記憶の定着に「反復」はかかせません。
以下の記事では暗記カードの効果から、具体的な使い方、メンテナンス方法までくわしく紹介されています。併せて参考にしてくださいね。
友達と一問一答
記憶をアウトプットするなら、友達と問題を出し合いましょう。
ポイントはなるべく答えを見ないで出題することです。
なぜなら出題することがアウトプットになるからです。
出題できる=記憶に定着しているわけですから、できるだけ問題集などを見ずに出題しましょう。
また、相手が分からなかったらヒントを出すのも良いですね。
ヒントを考えることは、自分が忘れたときに思い出すきっかけを作る作業にもなります。
暗記ドア(ゲーミフィケーション)
家にあるドアノブ付近に、問題と答え(裏面)を書いたふせんを貼りましょう。
そして「答えがわかるまでこのドアは通れない!」というマイルールを設けるのです。
わりとハードなルールですね。
- ドアを通るときは問題に答える
- 30秒考えてもわからなかったら、答えを見る
- 答えがわかったら通過してOK
何度もドアを通ることで繰り返し思い出せるので、記憶に残りやすくなります。
もちろんドアノブに限らず、天井や電気スイッチのボタンでもかまいません。
家の中でよく通る場所に貼って、何度も見るようにすればOKです。
このような方法はゲーミフィケーションと呼ばれています。
勉強を「ゲーム化」してしまうこと
- 友人と勝負する
- 協力しないと解けなくする
- レベルアップ式にして達成感を得られるようにする
モチベーションをアップさせるために有効な方法として、最近注目されています。
参考書籍:清水章弘『ゲーミフィケーション勉強法」2016 講談社 pp.98-99
マインドマップ
マインドマップを使うと、物事のつながりが可視化できます。
ポイントは問題演習を行なったあとにマインドマップにまとめることです。
ただし、まとめただけで終わると翌日には忘れてしまいます。
- 問題を解く
- わからなかった単語や歴史上の出来事を中心に書く
- 解説を読みながら、関連キーワードをマップに書き込む
- 時間をおいてもう一度解いてみる
1と4のサイクルがないと、この方法は活きません。
必ず問題演習をはさんでください。
関連記事:記憶術とは?おすすめの記憶術6選やトレーニング方法もご紹介
参考書籍:葉一『自宅学習の強化書』2021 フォレスト出版 pp.74-75
やってはだめ!な世界史の覚え方
以下の方法は作業効率が悪くなるので避けましょう。
- 睡眠時間を削る
- 暗記量を決めない
- スケジュールを立てない
- まとめノートを作る
それぞれ、詳しく解説します。
睡眠時間を削る
睡眠時間が削られると、記憶が定着しません。
これは記憶をになう器官「海馬」が、睡眠中に情報整理をすることがわかっているからです。
- 目安は6時間の睡眠
- 90分サイクルで考える
- 最低でも4時間30分は確保する
全く寝ない「一夜漬け」でテストを迎えようとする人もいますが、効率が悪いのでやめましょう。
キツネさん
でも、明日まで覚えなければダメな時ってあるじゃないですか。どうしたらいいでしょうか?
そういうときは、暗記する量を決めてしまうのです。
暗記量を決めない
テスト前日であれば、思い切って暗記する量・範囲を決めてしまいましょう。
前日に全てを一夜漬けで暗記しても、高得点は望めません。
むしろ覚えるところを限定して、その部分をしっかり暗記したほうが後々記憶にも残ります。
そのかわり決めた範囲は何度も音読したり、マインドマップにして繰り返し復習しましょう。
キツネさん
あれもこれも…と手をつけて中途半端になるのが、最悪のパターンですね。
スケジュールを立てない
予定を作らずに勉強すると、まず最初に今から何を暗記するかを決めなくてはいけません。
その時点でムダが発生してしまいます。
夕飯の準備をするときに、メニューを決めるところから考えていたら時間がかかりますよね。
一方でメニューさえ決まっていれば、レシピを検索して材料をそろえるところからスタートできます。
最初にすべきことは作業ではなく、スケジュールをおおまかに作ることです。
まとめノートを作る
筆者がよく見る、非効率勉強あるあるがまとめノートです。
教科書の内容をまとめること自体は意味があります。
しかし、暗記するにはあまりに作成時間がかかりすぎるのです。
- 手を動かす時間がもったいない
- 写す=作業になりがち
- ノートづくりは日々の授業で完結させる
暗記するなら、書くのではなく読みましょう。
一夜漬けしかないなら、範囲後半を音読するべし
もしあなたが試験前日で全く世界史に手をつけていないなら、テスト範囲後半の教科書をひたすら音読です。
後半ならば授業の内容が頭に残っているはずです。
しかし、本当はそんな緊急事態にならないようにしたいですよね。
テストまでのスケジュールにまだ余裕がある内に、今回取り上げた暗記方法をいろいろと試してみてください。
もう一度今回取り上げた暗記法をまとめておきます。
- 音読
- 暗記カード
- 一問一答
- 暗記ドア
- マインドマップ
反対にやってはいけない暗記法は、以下のとおり。
- 睡眠時間を削る
- 暗記量を決めない
- スケジュールを立てない
- まとめノートを作る
暗記テクニックの引き出しをたくさんもっておけば、世界史以外にも応用できます。
スキマ時間を使って正しい方法で暗記すれば、誰でも記憶は定着します。
どれも今からできる方法ばかりですから、やらないと損ですよね。
ぜひ、どれか一つだけでも試してみてくださいね。
関連記事:一夜漬けを極める!1日で暗記する方法
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キツネさん
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