集中力が切れた時の対処法!集中できる環境づくりのコツもご紹介

キツネさん

最近やることが多くて、いったん集中力が切れたらなかなか元に戻らないんだよね。もう一度集中しなおす方法や、環境づくりもついでに知りたいな。

「人間は考える葦である」という有名な言葉がありますが、とはいえ「考え続ける」ことは難しいものです。

仕事や勉強など、高度な思考を必要とする作業であれば、なおさら長時間集中するのは困難です。

だからこそ集中力を自分でコントールできたら、生産性を格段に上げられます。

そこで今回は、一度切れた集中をどうすれば元に戻せるのか、また、どのような環境を作れば再集中しやすいのかについてお伝えしていきます。

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人が集中できる時間は?科学的な根拠

人がどのくらい集中力を持続できるかについて、絶対的な結論は出ていません。

ですが、一般的な傾向として人間に共通する法則はあるようです。まずはこの集中力の法則について一緒に学んでいきましょう。

集中力は切れるもの

「私は集中力がなくて…」という言葉を耳にすることがあります。

これ実は間違いで、集中力はどれだけ優秀な人であっても切れます

しかし彼らは「集中力は切れるもの」という事実を受け入れて、その上で「どうすれば再び集中しやすくなるか」を知っています。

例えば集中力の持続時間に関しては「15・45・90分の法則」というものがあります。

15・45・90分の法則

「15・45・90分の法則」とは、精神科医の樺沢紫苑氏が提唱している法則です。

15・45・90分の法則
  • 15分…最も深い集中が持続できる時間(例:同時通訳の交代時間)
  • 45分…子どもを含む一般的な集中持続時間(例:小学校の授業)
  • 90分…集中できる限界の時間(例:大学の講義)

また、東京大学薬学部教授の池谷裕二氏が行った研究によれば、「60分間学習」のグループと比較して「15分×3回=45分間学習」のグループのテストの上昇スコアが117.2%になったとのことです。

これらの研究から、勉強や仕事は「ダラダラ長時間」よりも短時間に区切った方が効率が良いことがわかります。

人間の集中力は切れるものと割り切り、自分で時間をコントロールして区切ってしまうほうが賢いのです。

集中力が切れたときに試したい対処方法

集中力が切れてしまった、どうにかしたい…!そんな時に試したい対処方法は以下の3つです。

  • 仮眠を取る
  • カフェイン、GABAを摂取する
  • ストレッチをする

それぞれ詳しく解説していきます。

仮眠を取る

集中力が切れる一番の原因は「眠気」ではないでしょうか。最も根本的な対処法は、仮眠を取ることです。

広島大学大学院教授の林光緒氏らの研究でも、30分以下の短時間仮眠が日中の覚醒維持に効果的であることが示されています。

ただし注意点として、30分以上にはしないことです。

これは、疲労感や寝つきを悪くする「睡眠惰性」という現象が発生し、夜の睡眠に対して悪影響を及ぼすことを防ぐためです。

また、仮眠をとる時刻として最も効果が高かったのは眠気がピークになる午後2時でした。

とはいえ、仕事によってはその時間に仮眠を取ることができない場合もありますので、昼休みに仮眠を取るのが現実的でしょう。

仮眠の注意点
  • 時間は30分以下にする
  • 昼休み〜午後2時に取ると効果が高い

参照:午後の眠気対策としての短時間仮眠

カフェイン、GABAを摂取する

覚醒作用で集中力を取り戻すなら「カフェイン」を摂取しましょう。

カフェインを摂取してから脳に到達するまでかかる時間は約30分ですから、仮眠前に飲んでおけばちょうど起きる時間には効き始めます。

また、「GABA」と呼ばれるγ-アミノ酪酸を摂取することで神経を鎮めることができます。

集中力を散漫にさせるイライラや不安を解消し、落ち着いた状態を取り戻すことができますよ。

キツネさん

摂取方法としては、カフェインならコーヒー、GABAは「GABA」(江崎グリコ)というチョコレートが有名ですね。

ストレッチをする

ちょっとした運動も、散漫になった集中力を高めるのに効果的です。

ウォーキングやジョギングがすぐに思い浮かびますが、天候に左右されてしまうという欠点がありますね。

なので、自宅でできる運動を取り入れると良いでしょう。

例えば、ストレッチなら家の中、狭いスペースでも行うことができます。

1畳分スペースがあるならラジオ体操もいいですね。全身の筋肉をくまなくストレッチできるよう設計されてますので、血流が全身に行き渡ります

その他運動について、くわしくは以下の記事でも解説しています。

関連記事:集中力を回復する方法を紹介|仕事や勉強の生産性を上げる休憩とは

集中力が切れないための環境づくり

人間は外的要因(環境)によって簡単に集中が切れてしまいます。

例えば勉強中にスマホの着信が鳴ったら、つい手を止めて操作してしまいますよね。

なので集中を維持するためには「集中力が切れない環境」を作ることがとても大切です。

ではどんな環境が適しているのでしょうか。以下に具体的な方法を示してみます。

【重要】集中力を妨げるものは視界からなくす

今すぐできて、かつ効果が高い方法は「視界に余計なモノを入れない」ことです。

人間は情報源の8割以上を視覚に頼っていると言われます。作業中に何か目に入ると、注意がそちらに向くようになっています。

仕事をしようと席についたのに、気づいたら「引き出しの中を片付け出していた」なんて経験はありませんか。

そうならないためにも、まず机を片付けてから勉強するなど、集中力を妨げるものを視界からなくしましょう。

物理的に視線を遮る卓上パーテーションも販売されています。

折りたたみのものもあり、ここ一番「集中力を高めたい」という時に使うのもオススメです。

環境づくりのポイント
  • 不要なものは全て片付けてからスタートする
  • 卓上パーテーションで物理的に視覚情報を遮断する

新鮮な空気を取り入れる

気分をリフレッシュするなら新鮮な空気を取り入れるのもオススメです。コストは0円、所要時間は30秒です。

立命館大学理工学部の近本智行氏らの研究では、二酸化炭素濃度が上がるほどタイピング入力の作業量が減少することがわかっています。

窓を開けて外気を取り入れ、気分転換をはかってみてはいかがでしょうか。

キツネさん

なるほど、確かに締め切った空間で作業し続けると空気が悪くてボーッとしてきますよね。

温度は21〜22℃

空気の質に加えて、室温が低すぎたり高すぎたりすると集中力が切れてしまいます。

フィンランド、アールト大学のオッリ・セッパネン氏らの研究によれば、オフィスワーク作業では、22℃前後で最もパフォーマンスが向上すると指摘しています。

また25℃を超えると下がっていくことがわかっています。

夏や冬は室温にも気を配り、必要に応じてエアコンを使うなど調整をしましょう。

温度のポイント
  • 室温は21~22℃をキープ
  • 25℃以上はパフォーマンスが低下する

照度は750ルクス

集中力を高める「光の強さ」も存在します。それは750ルクスです。

イメージとして、百貨店のレジ周辺など手元がしっかり見える場所の明るさです。かなり明るいですよね。

この明るさを一般家庭で維持するのは難しいので、スタンドライトなど使って手元を明るくする方法がおすすめです。

ちなみに集中力を高める色温度としては青みが強い光が適しており、逆に赤みが強い光だとリラックスモードになってしまうので注意が必要です。

キツネさん

今まで暖かい光が良いと思ってました。さっそく、デスクライト買ってみます。

観葉植物を置く

少し変化球ですが、観葉植物を部屋に置いてみるのもいいでしょう。

千葉大学園芸学部准教授の岩崎寛氏の研究によると、オフィスの自席に植物を設置することで職場の環境満足度が上がることが明らかになっています。

少しでも良い状態で作業を行うためにも、植物のグリーンを取り入れることを検討してみましょう。

グリーンの効果
  • 植物の大きさ、場所によらず集中力向上に効果あり
  • 自席に小さな植物を置くと、場所も取らずおすすめ

集中力を切らさないための考え方

環境だけでなく、あなたの頭の中も整えて「集中が切れた!」という状態を減らしましょう。

仕事や作業に取り組むときの考え方を変えれば効率もよくなります。具体的には次の5つです。

  • シングルタスクで整える
  • タスクブレイクで整える
  • 制限時間で整える
  • 順序を整える
  • 時間帯を整える

それぞれ解説していきます。

シングルタスクで整える|1つずつ取り組む

運転しつつ、ハンズフリーで電話対応をしながら助手席の部下に指示を出す……。

「デキる人」が漫画で描かれるときにありそうなシーンです。

しかし、これは間違いです。

ユタ大学のデイビッド・ストレイヤー氏の研究では「電話しながらの自動車運転は、飲酒運転と同じレベルの集中力」という衝撃の結果が出ています。

また「若者ほどマルチタスクが得意と思っているけれど、実際年齢による差はない」という研究結果もあります。

違う仕事を同時にこなさなくてはいけない時も、1つずつ終わらせることに集中したほうが効率良く終われそうですね。

  • 電話しながら運転は飲酒運転と同じレベル
  • マルチタスクの作業量において、年齢による差はない
  • マルチよりシングルタスクのほうが効率的

参照:A comparison of the cell phone driver and the drunk driver

タスクブレイクで整える|難しいタスクは細分化

「困難は分割せよ」とデカルトが言ったように、タスクブレイク(仕事の細分化)はあなたの切れた集中を戻してくれます。

例えば、一週間後までにプロジェクトの資料作成を作らないといけないとします。

期限が間近だと焦ってしまい、何から手をつけていいかわからず集中できません。

そこで細かくタスクブレイクしていけば、「まず直近の売上データを比較することから始めればいいのか」とタスクが明確になります。

あとは分担するなどして各自のタスクを進めていけば、間に合わせることができるでしょう。

まずはすべきことを付箋に全て書き出しましょう。

To Doリストが作成できたら、最も簡単な最初のタスクを決めます。例えば「資料を日付順に並べ替える」などですね。

そして、2つ目以降の順序を決め、完成までのルートを明確にしましょう。

タスクブレイクのコツ
  • 全てのタスクを付箋に書き出し、作業順に並べる
  • 1つ目の作業は簡単なものにして取り組みやすくする

制限時間で整える|ポモドーロ・テクニック

ポモドーロ・テクニックをご存知でしょうか。25分作業+5分休憩を繰り返すことで集中力を高める方法です。

脳科学者の茂木健一郎氏によれば、制限時間を設けて仕事をやりきった場合、脳内では興奮物質であるドーパミンが放出されるとのこと。

これを繰り返すことでやる気につながります。

  • 制限時間はやる気を高める
  • 作業25分+休憩5分がおすすめ
  • 成功体験を積むと、ドーパミン放出でさらにやる気アップ

順序を整える|間に簡単なタスクを挟む

集中力が切れてどうしても作業が進まない時は、思い切ってやることを変えましょう。

コツとしては、あえて簡単な作業に切り替えることと、事前にやることを決めておくことです。

例えば、「集中が切れた時は資料の穴あけとファイリングをする」などですね。

間に挟む仕事を決めておけば、サッと集中し直すことができます。

キツネさん

「1分でできること」「5分でできること」など必要な時間ごとに分けて、事前に考えておくといいですね。

時間帯で整える|朝の時間帯を有効活用する

思考をともなう作業は朝にすべきです。

なぜなら脳が一番元気であり、気力・体力ともに満タンの状態で臨めるからです。

人が1日で行う意思決定は9,000回とも35,000回とも言われています。

そんなとてつもない数の意思決定を繰り返した後に「さあ集中!」と気合をいれるより、朝のフレッシュな状態で取り組むべきです。

キツネさん

意思決定が仕事である「社長」には朝型の人が多い、というのも納得です!

まとめ

仕事や勉強をしていて、集中力が切れない人はいません。

差がつくのは「もう一度集中するまでどれだけかかるか」という点です。

優秀な人は再びスイッチを入れる方法を知っていて、自分でコントロールすることができます。

これは才能ではありません。練習さえすれば、誰でも鍛えられます

以下にポイントをまとめておきますので、集中力をコントロールするときの参考にしてもらえるとうれしいです。

  • 15分刻みで時間制限を設定する
  • 仮眠やカフェインでリフレッシュする
  • 空気を入れ替え、21~22℃の室温を保つ
  • スタンドライトで手元を明るくする
  • 難しいタスクは分割してTo Doを明確に
  • 朝の時間を有効に使う

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監修者
的場 惇人(まとば あつひと)

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