キツネさん
「嫌なことがあったらお酒を飲んで忘れよう」
お酒が飲める方なら、一度はそんな風に思ったこともあるかもしれませんね。
また「酔っ払いすぎて昨日のことを忘れてしまった」なんてこともあるように、お酒と記憶の関わりは意外と深いものです。
そこで今回は、お酒と記憶力の関係について、脳力の学校ならではの観点から徹底的に解説します。
「お酒を飲むことで記憶力に与える影響は?」「上手な付き合い方は?」「勉強に活かす方法はある?」など、さまざまな疑問を解消していくので参考にしてみてください。
もくじ
【前提】過度な飲酒は記憶力を低下させる
まず、前提として理解しておいてほしいことが「過度な飲酒は記憶力を低下させる」ということです。
「酒は百薬の長」なんて言葉もありますが、アルコールを摂取しすぎると脳にはさまざまな悪影響があらわれ始めます。
具体的な危険性や脳にもたらす影響について、一つ一つ詳しく見ていきましょう。
飲めば飲むほど脳が萎縮する
アルコールを摂取しすぎると、脳が萎縮(いしゅく)する割合が高くなることがわかっています。
脳が萎縮すると、認知機能や記憶力が低下したり、脳梗塞などのリスクが高まったりする危険性があります。
飲酒量が増えれば増えるほど脳萎縮が進む傾向にあり、お酒をやめることで萎縮が改善されることもあるとされています。
認知症リスクの上昇
過度な飲酒は、認知症のリスクも上昇させるとも言われています。
こうしたアルコールが原因となる認知症は「アルコール性認知症」とも呼ばれ、アルコール依存症と併発するパターンも多いです。
脳萎縮と同じように、認知症のリスクは誰でも加齢によって徐々に上昇するものですが、飲酒量の多い人はその発症リスクを10年以上早める可能性があります。
特に高齢者は脳がアルコールによる影響をより受けやすいので、注意が必要です。
参照:杏林大学「高齢者のアルコールとの上手な付き合い方 アルコール性認知症について 講演会報告」
「お酒を飲んで嫌なことを忘れる」は逆効果
お酒の力を借りて嫌なことを忘れようとしたことがある方も多いかもしれません。
しかし実際に「お酒のおかげでキレイさっぱり忘れられた!」という方は少ないでしょう。
実は「お酒を飲んで嫌なことを忘れる」のは逆効果であるという研究結果があります。
- 嫌なことを忘れようとお酒を飲む
- 飲みすぎると翌日には「楽しく飲んでいたときの記憶」が曖昧になる
- 逆に、忘れたかった「嫌なこと」の印象が強く残ってしまう
お酒で無理やり忘れようとするのではなく、忘れられない楽しい思い出を重ねていく方がいいのかもしれませんね。
お酒で記憶をなくすのは脳が「まひ」するから
「飲みすぎて昨夜のことが全然思い出せない……」なんて経験をしたことがある方もいるでしょう。
お酒を飲むと記憶がなくなってしまう理由は、簡単に言うとアルコールによって脳がまひ状態におちいるからです。
アルコールを摂りすぎる体に異変を感じ始めると思いますが、それは脳のそれぞれの機能が少しずつまひしていくことで起こります。
- 呂律がまわらなくなり、千鳥足になる
:小脳がまひすることで起こる - 記憶がとぶ、思い出せなくなる
:海馬がまひすることで起こる - 昏睡状態になる
:脳全体がまひした状態
つまり「記憶がとぶ」状態とは、脳が機能していない危険な状態なのです。
参照:東邦大学医療センター 佐倉病院 脳神経内科「お酒とからだ〜脳神経との関係」
関連記事:記憶術テクニック7選!記憶のメカニズムや記憶力を高めるコツも解説
お酒で記憶をなくさないための対策
キツネさん
大人になると「どうしてもお酒を飲むことが避けられない」場面もあるでしょう。
特にお酒にあまり強くない人は「気がついたら飲みすぎて記憶がとんでいた」なんて事態になることは避けたいですよね。
そこでここからは、お酒で記憶をなくさないようにする方法について解説します。
お酒に自信がない方から、できるだけアルコールの悪影響を避けたい方まで参考にしてみてください。
参照:政府広報オンライン「急性アルコール中毒の怖さを知っていますか?イッキ飲みや無理強いは命にかかわることも!」
まずは「お酒を飲みすぎない」
大前提として「お酒を飲みすぎない」という強い意志を持つことが重要です。
アルコールを分解できる量やペースは人それぞれの体質によって異なり、個人差があります。
また、その日の体調によっても変わるため「自分はこれくらいまでなら大丈夫」と思って飲んでいたら、泥酔してしまったなんてことも起こり得ます。
過剰なアルコール摂取は記憶がなくなるだけでなく、急性アルコール中毒を引き起こすリスクも高めます。
周りの人の目などは気にせず、自分の健康や命を第一に考えて「飲みすぎない」という強い意志を持つようにしましょう。
食べ物を同時に摂取する
「空きっ腹の状態でお酒を飲んで、悪酔いしてしまった」そんな経験はないでしょうか。
実は、お酒と一緒に食べ物も摂取することは非常に重要です。
- 食べ物がアルコールの刺激から胃を守る
- 食べ物がアルコールの吸収を抑えてくれる
できるだけお酒の悪影響を避けるために「飲酒するときは食べ物も一緒に」という心がけをしてみてください。
キツネさん
十分に水分を摂る
お酒を飲み続けていると、血中のアルコール濃度が上昇し続けます。
そこで少しでも脳や体への影響を減らすために、飲酒するときは十分に水分を摂ることを意識してみてください。
- アルコール度数が高めのお酒は水や炭酸水で割る
- お酒と水を交互に飲む
筆者もお酒があまり得意ではありませんが、水と交互に飲むことで酔いがましになることを実感してからは、必ず一緒に水分を摂るようにしています。
水分を摂るだけでも「お酒に飲まれて記憶がなくなってしまった……」なんてことになる確率を下げられるでしょう。
「お酒で記憶力が上がる」というウワサも
最近では「お酒を飲むことで記憶力が高まる」といった研究結果や、それを基にした記事を目にすることがあります。
オンライン科学誌サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)によると、飲酒によって新しい情報やお酒飲んでいる間の情報が脳に届きにくくなる代わりに、飲む前の記憶がより強固になるというのです。
一見勉強に活かせそうだと感じるかもしれませんが、この現象は「脳がまひする」ことによって起こる弊害の一つと言えます。
それ以上にお酒が脳や体にもたらす悪影響は大きいため、お酒とは上手に距離をとりながら付き合っていくことが大切です。
キツネさん
お酒とうまく付き合って勉強に活かす方法
ここまで「飲み過ぎは脳や記憶力に悪影響を与える」という話をしてきましたが、お酒にはデメリットしかないわけではありません。
適切な量を、適切なタイミングで節制を持って飲むことができれば、そのメリットを引き出すことができます。
また、そのメリットは勉強や仕事にも役立てることができるでしょう。
そこで最後に「お酒と上手に付き合って勉強や仕事に活かす方法」を、脳力の学校ならではの視点で提案します。
お酒は「勉強や仕事後のごほうび」にとっておく
適量のお酒がもたらしてくれるメリットには、以下のようなことが挙げられます。
- ストレスの解消
- 脳の血流を促進する
勉強や仕事中の飲酒はデメリットが作業を妨げてしまいますが、ごほうびとして飲むことで作業中にたまったストレスや脳の疲労を改善してくれます。
こうして「お酒を勉強や仕事のごほうび」にすることで、お酒のメリットを活かして役立てることができます。
また、ごほうびにすると「これが終わったら一杯飲もう」という気持ちが生まれ、モチベーションアップにもつながりますよ。
「アルコール度数の低いもの」を「少量」摂取する
「ちょっとだけ飲もう」と思っていたのに「気がついたらどんどん飲んでしまっていた」なんて事態におちいりやすいのが、お酒の怖いところです。
アルコールを摂取する際は、そのアルコール度数の高さと量に注意するようにしましょう。
1日あたりの飲酒量の目安は「ビール大瓶一本」くらいと言われていますが、体質などによってこの基準は前後します。
できるだけお酒のメリットが得るためには、「アルコール度数の低いもの」を「少量」摂取することを心がけましょう。
参照:国立がん研究センター がん情報サービス「科学的根拠に基づくがん予防」
アルコールの分解を手助けしてくれる物を摂取する
お酒を飲むとき、一緒にアルコールの分解を手助けしてくれる食べ物や飲み物を摂るのもおすすめです。
- 水:飲酒による脱水症状を防ぐ
- お刺身:肝臓のはたらきを促す栄養が豊富
- イカ:胆汁を増やす、アルコール分解に必要なタウリンも豊富
- トマトジュース:血中アルコール濃度の上昇を抑える
- サフラン:海馬の神経細胞を活発にする
特にパエリアなどに使われる香辛料の「サフラン」は、記憶をつかさどる海馬を活発にしてくれるので、記憶力の向上にも役立つでしょう。
関連記事:記憶力がアップする食べ物を紹介!勉強のお供やテスト本番にもおすすめ
「眠るためのお酒」は避ける
「よく眠れるように、寝る前にお酒を飲む」という方もいるかもしれませんが、寝る前の飲酒は睡眠を浅くしてしまう恐れがあります。
睡眠は私たちの記憶を脳に定着させる重要なはたらきを持ちます。
「寝る前のお酒」によって睡眠の質が下がると、記憶力アップの妨げになってしまいます。
その日学んだことを睡眠を通じて脳にしっかりと定着させるためにも「眠るためのお酒」は避けるようにしましょう。
まとめ
「酒は百薬の長」と呼ばれるように、自分の体に合った適量であればプラスの影響をもたらしてくれることもあります。
しかし一線を超えてしまうと記憶が飛んでしまったり、認知症リスクや脳への悪影響が増したりと、一変して体に悪いものとなってしまいます。
そんなお酒の危険性を理解した上で、上手に付き合うことができれば、勉強や仕事にもプラスにはたらいてくれることでしょう。
自身の生活を振り返ってみて「お酒とうまく付き合えてないかも……」と思った方は、この記事を参考にして少しずつ改善してみましょう!
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「人、人、人、全ては人の質にあり。」
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