キツネさん
記憶力が良い人を見ていて、うらやましいなぁと感じた経験はありませんか?記憶力って、生まれながらの能力で変えられないと思いがちです。
しかし、実は記憶力はトレーニングすることで向上させることが可能です。
日常の生活習慣を変えるだけでも、物覚えが良くなる可能性があります。
今回は、記憶力を上げるためのトレーニングについて紹介していきます。誰でも取り入れやすい小さな習慣も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
そもそも:記憶力とは
記憶力とは、「物事を覚えて、必要な時に思い出すことができる力」のことを指します。
記憶力と同じような言葉として、「暗記力」があります。暗記力とは短い期間、記憶を保持する力です。後ほど紹介しますが、暗記力は短期記憶を指します。
ですので、長期的に記憶を保持する力を記憶力、短期的に記憶を保持する力を暗記力ととらえることができます。
「歳を重ねて、記憶力が落ちてきた」というのは暗記力が低下していることを指すことが多いです。
一方で勉強においては、暗記力よりも記憶力を向上させることが重要です。いつでも記憶の中から知識を呼び起こせることが大事だからです。
ここからは、記憶力について深掘りしていきます。
記憶力の3つの分類(心理学)
心理学において、記憶力は大きく3つに分類できます。1968年にアトキンソンとシフリンが提唱した二重貯蔵モデルを参考にしています。
- 感覚記憶
- 短期記憶
- 長期記憶
それぞれの特徴を理解することで、効率的に記憶力のトレーニングを行うことができます。
上から順番に記憶の保持時間が短いものとなり、トレーニングして伸ばしたい記憶力は記憶の保持が一番長い「長期記憶」になります。
しかし、覚えたい事がすぐに長期記憶になるわけではありません。それぞれの記憶を反復したり、合わせることで長期記憶に変換していくのです。
まずは、それぞれの記憶の特徴を理解しましょう。
感覚記憶|いちばん保持時間が短い
感覚記憶とは、視覚や嗅覚、聴覚といった五感にある記憶のことを指します。
例えば、私たちは見ているもの全てを意識して記憶することはありません。しかし、見ているものは無意識のうちに一時的に脳に記憶されます。このことを感覚記憶といいます。
感覚記憶は意識的に覚えていることではなく、五感が無意識のうちに記憶しているものです。
この感覚記憶はすぐに忘れてしまいますが、感覚記憶のうち私たちが注意を向けたものだけは短期記憶へと変換されます。
短期記憶|数十秒程度の一時的なもの
感覚記憶の中から意識して記憶したものが短期記憶となります。
短期記憶を例えると、一夜漬けのテスト勉強がわかりやすいです。
一夜漬けで覚えた漢字や英単語は、テストが終わってしまうと完全に忘れてしまいます。
短期記憶とは一時的であり、長期間は保持されないのが特徴です。
日常生活を送る上でも短期記憶はとても大事な役割を担っています。ご飯を食べたか、お風呂に入ったかなどの記憶は短期記憶となるからです。
キツネさん
この短期記憶を反復して学習することで長期記憶へ変換することができます。
関連記事:短期記憶のメカニズムと鍛え方を徹底解説!
長期記憶|数分〜一生忘れない
長期記憶は、短期記憶よりも長く記憶を保持することができます。
一般的に記憶とは長期記憶を指していることが多いです。
長期記憶を例えると、ひらがなや漢字の記憶、旅行の思い出などが挙げられます。
短期記憶を長期記憶に変換するためには反復が必要ですが、旅行などの思い出など感情が伴う記憶も長期記憶として保持されやすい傾向になります。
ちなみに長期記憶の中には、非陳述記憶と陳述記憶という概念があります。
非陳述記憶とは、言葉や文字として表現できない記憶のことを指します。
例えると、自転車の乗り方があります。体が勝手に覚えているもので、言葉にはできません。このような記憶を手続き記憶とも言います。非陳述記憶はこのように無意識に体が覚えている記憶のことです。
陳述記憶とは、言葉や文字に想起できる記憶を言います。
例えると、旅行の思い出の記憶であるエピソード記憶やリンゴと言われたら丸や赤などを想起できる意味記憶などが、陳述記憶に分類されます。
繰り返しになりますが学習における記憶は、長期記憶が必要となります。
関連記事:長期記憶のしくみをわかりやすく解説
学習では短期記憶→長期記憶の変換が重要
記憶の分類の中でも、学習に必要な記憶は長期記憶になります。
学習した内容をいつでも思い出させるためには、長期記憶へ変換する必要があるからです。
学習において短期記憶を反復することで長期記憶へ変換することができます。
小学生のころに漢字を何回も書いて覚えたことを思い出してみてください。
キツネさん
何かを学習して、習得したいのであれば短期記憶を反復させる必要があることを覚えておきましょう。
子どもや高齢者もトレーニングで記憶力は伸ばせる
短期記憶を反復することは、子どもでも高齢者でも実践することができます。
高齢者は、記憶力が低下するとも言われていますが、記憶する能力が低下しているわけではなく、脳の血流の低下や神経細胞の機能の低下が原因とも言われています。
しかし高齢者でも反復して学習することで記憶力を伸ばすことは可能です。
諦めてしまえばそれ以上記憶力を伸ばすことはできませんが、根気よくトレーニングすることで記憶力はアップできます。
ここからは、記憶力が良い人が実践している方法を紹介しますので、学習する際に取り入れてみましょう。
関連記事:記憶術とは?おすすめの記憶術6選やトレーニング方法もご紹介
記憶力がいい人がやっている覚え方
記憶力が良い人は、ただ単に反復して学習しているわけではありません。様々な工夫をして記憶しているのです。
ここでは、記憶力が良い人が実践している覚え方5つを紹介します。
- 場所や風景と紐付ける
- 映像で覚えている
- 感情と紐付ける
- アウトプットする
- 反復練習をする
それぞれの覚え方の特徴を理解して、真似できるところを学習に取り入れてみましょう。
1. 場所や風景と紐付けて覚えている
記憶力が良い人は、覚えたいものを場所や風景と紐付けて記憶しています。
場所や風景は、視覚や嗅覚、聴覚を刺激するので記憶に定着しやすいのです。
この特徴を学習に活かすことができます。
いつも机だけで学習する人は、違う場所に移動して学習してみてください。
いつもと違う場所や風景の下で学習することで、他の感覚の刺激にもなり、記憶に定着しやすいです。
関連記事:最強の記憶術「場所法」とは?
2. 映像で覚えている
記憶力のいい人は何かを記憶する時に映像で覚えます。
例えば覚えたいことを絵にしてみたり、図を描いてみることも有効です。
絵や図を描くことで視覚に対して刺激になるとともに、手を動かすので記憶に定着しやすくなります。
殴り書きでもいいので、イメージとして刷り込む方法は多くの人が行っているので、一度試してみる価値はありそうです。
3. 感情と紐付けて覚えている
感情は記憶と非常に結びつきやすい関係にあります。
過去に起こった悲しいことやうれしい事は記憶に残っていることが多いと思います。その感情を学習する際に取り入れることで記憶に定着しやすくします。
appleという単語を覚えたいのであれば、リンゴをうれしそうに食べている自分を想像するなどが挙げられます。
ここで紐付ける感情は、喜怒哀楽のどれでも構いません。単にストーリーで覚えるのではなく、感情を取り入れてみてください。
4. アウトプットしている
アウトプットとは、家族でも友人でもいいので学習した内容を伝えることです。
記憶力の良い人は常にアウトプットを心がけています。
アウトプットが記憶する上で大事な理由としては、学習した内容をアウトプットするためには、学習した内容を正確に記憶する必要があるからです。
相手にわかりやすく伝えようとするだけで、記憶力は向上します。
また学習した後に誰かにアウトプットしなければならないと思うことで長期記憶への定着率は上がります。
今日から家族や友人にアウトプットを始めてみましょう。
キツネさん
5. 反復練習している
記憶力がいい人は、長期記憶に定着させるために反復練習を欠かしません。
反復練習は長期記憶にするための最もスタンダードな方法になります。
記憶力の良い人は反復することで長期記憶になると言うことを理解して反復練習を繰り返しています。
記憶力を鍛えるトレーニング(訓練)4選
ここからは、記憶力を鍛えるトレーニングについて紹介します。
記憶力を鍛えるトレーニングは、以下の4つ。
これらのトレーニングを学習に取り入れることで記憶力を鍛えることができます。
一度にすべてのトレーニングを行うことはできませんので、一つずつ試して自分に合ったトレーニング方法を見つけましょう。
それぞれのトレーニングについて解説します。
トレーニング1:イメージ変換
イメージ変換のトレーニングは、覚えたいものを自由にイメージに変換して記憶する方法です。
この時に頭の中に自由にイメージを作ります。「パンダの形をしたアイスを空を眺めながら車の中で食べる」という場面のイメージを作る。
最初からイメージを作るのは難しいので、少しずつ量を増やして慣れていきましょう。2単語を覚える練習から始めて、少しずつ増やしていくことで脳も慣れてくるはずです。
イメージに変換して記憶するコツとしては、できるだけインパクトのあるイメージにすることです。上記の例でいうと、「パンダの形をしたアイス」はあまり見ることがなくインパクトを与えることができます。
トレーニング2:エピソード記憶変換
先にも説明した通り、エピソード記憶は長期記憶の一種です。
経験や出来事など、物語、ストーリーとしての記憶を指します。
そしてこのエピソード記憶は単純な記憶(意味記憶)よりも、覚えやすく忘れにくいとされています。
このエピソード記憶に変換するトレーニングは有効です。
例えば覚えたい英単語が複数あるなら、それらを組み合わせて、ひとつの文章(ストーリー)にして覚えるのはどうでしょうか。
「significant(重要な)」「fluster(混乱させる)」「tense(緊張した)」を覚えたいときは、「相手を混乱させるという、重要な役割を任されて、緊張した」というように、多少強引にでもストーリーにしてみる。
上記のイメージ変換にも似ていますが、そのまま覚えるのではなく、物語の中に覚えたい事柄を織り交ぜることで記憶しやすくなります。
トレーニング3:数字イメージ変換
数字イメージ変換法とは、数字を覚えたい時に役に立つトレーニング方法です。
歴史で年号を覚えたいときに「いい国作ろう鎌倉幕府」や「泣くよウグイス平安京」など語呂合わせで記憶することが多いでしょう。しかし、数字イメージ変換法は少し違います。
例えば89298355などの長い数字を覚える場面で、数字イメージ変換法は役に立ちます。
数字イメージ変換法は、数字を2文字ずつに区切り意味を与えてストーリーを作ります。
89298355であれば、89は「焼く」、29は「肉」、83は「野菜」、55は「午後」と語呂合わせをします。
その後に、それぞれの語呂を合わせてストーリーを作ります。ここでは「焼くよ、肉と野菜を午後から」となります。
コツとしては、語呂合わせをするときに数字がイメージしやすいように心掛けることです。
繰り返しトレーニングすることで、すぐに数字をイメージに変換することができるので、電話番号などを覚える際には役に立ちます。
トレーニング4:連想結合
連想結合とは、連想ゲームのように連想できるものを思い出して結合していくことです。連想するものであれば思い出しやすいので、この連想結合を記憶のトレーニングに取り入れます。
りんごにペンが刺さっている、ペンでテレビを書く、テレビを車で見る、車が書いてあるコップなどのように前後の単語を連想ゲームのように組み合わせていきます。
これらを組み合わせて物語を作る方法が連想結合です。
りんごに刺さっていたペンでテレビを書いて、その後にテレビを車で見ながら車の絵が書いてあるコップで休憩といったようにストーリーを作ることで単語を記憶しやすくなります。
先程のエピソード記憶とも通ずるところがあります。
インパクトのある物語であれば記憶に定着しやすいので、実践してみてください。
合わせて取り組みたい記憶力を上げるための習慣
記憶力を上げるためのトレーニング以外にも、日常生活に取り入れるだけで記憶力がアップする習慣があります。
ここでは、記憶力を上げるための6つの習慣を紹介します。
- 生活を朝方へシフト
- 適度な有酸素運動
- 瞑想(マインドフルネス)
- 食事の改善
- 睡眠を取る
- 声に出す
上記の習慣を取り入れるだけで記憶力アップへの手助けにもなりますし、健康にも有効です。可能であれば全ての習慣を取り入れた方が良いですが、一つずつチャレンジしてください。
生活の朝型へのシフト
勉強をする時間を朝型にすることで学習効率は変わります。
脳が一番元気なのは、睡眠で脳の情報が整理された朝です。
夜は脳が疲れており、記憶しようとしても中々定着しません。
夜は早く寝て、朝早く起きて学習することをおすすめします。
キツネさん
関連記事:暗記に最適な時間帯
適度な有酸素運動
適度な有酸素運動は記憶力を高めるために非常に役立ちます。運動することにより血流が良くなり脳への血流も良くなるためです。
筑波大学の研究では、10分間の有酸素運動で記憶を司る海馬の働きが向上するいう研究結果があります。
ウォーキングや自転車こぎなどが有酸素運動に含まれます。10分から20分位の有酸素運動を心がけましょう。過度な筋トレやランニングは疲労して逆効果です。
ウォーキングをしながらイヤホンで学習するのもオススメです。体を動かしながら学習することで、感覚を刺激しながら記憶することができるからです。
関連記事:記憶力に効果的な運動3選
瞑想(マインドフルネス)
ロンドン大学とフロリダ大学の研究において、瞑想は記憶力を上げるという結果があります。
瞑想は集中力を向上させ学習効率を上げることができます。
瞑想は静かな場所で目を閉じて自分の呼吸に意識を向けて集中力を高めます。
学習の合間や寝る前に瞑想を行うと効果的です。
Googleなどの大企業も取り入れている方法なので短い時間から始めてみましょう。瞑想も継続することが大切です。
キツネさん
関連記事:瞑想で記憶力をアップさせる方法
食事の改善
記憶力を上げるには、脳を活性化させる必要があります。
脳が効率よく活動させるためには糖分と糖を代謝するビタミンB1などを食事で意識的に摂取する必要があります。
バナナや青魚など、バランスの良い食事をすることで記憶力を上げる助けになるでしょう。
睡眠を取る
睡眠は記憶力に大きく影響します。睡眠中は学習した内容を脳が整理する時間ですので良い睡眠をとることで記憶力を上げることができます。
睡眠不足で学習しても効率的に記憶することができません。7時間半程度の睡眠を取るように心がけましょう。
声に出す
何かを記憶したい時に声を出して取り組んでみてください。声に出すことで聴覚に対する刺激にもなり記憶しやすくなります。
声を出すことと反復練習を繰り返すことで効率的に記憶に定着させることができます。
小声でもいいので始めてみましょう。
キツネさん
まとめ
記憶の詳細とトレーニング方法について解説しました。
記憶は、私たちが生活する上で重要なものとなります。子どもでも高齢者でもトレーニングをすることで記憶力をアップさせることは可能です。
効率的に記憶力をアップさせるトレーニングを実践しつつ、生活の習慣も変えていきましょう。小さな工夫で記憶力をアップさせる助けになります。
毎日のトレーニングを欠かさず、記憶力を上げて、たくさんの知識を身につけましょう。
記憶術を取り入れてみるのもおすすめ
どうしても記憶力が上がらない...という人には、記憶術を試してみるのもおすすめです。
「記憶術」と聞くと少し怪しいイメージや、小手先のテクニックのイメージを持つ方もいるかも知れません。
しかし、人間が何かを記憶する際には決まった法則があり、その法則を1つずつ紐解いて、最適化された方法が記憶術です。
つまり、怪しい妖術ではなく、科学的に裏打ちされた記憶力をアップさせる方法が「記憶術」なのです。
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キツネさん
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